WordPressの始め方を調べると、レンタルサーバーの簡単インストール、手動インストール、WordPress.comなど複数の方法が見つかります。どれを選ぶかは、サイトを作る目的だけでなく、更新、バックアップ、メール、復旧を誰が担当するかで決まります。インストールボタンを押す前に、ドメイン、サーバー、管理者情報、必要なページ、復旧手段を整理しておくと、後から設定をやり直す手間が減ります。
この記事では、WordPress公式の推奨環境とインストール手順を確認し、初心者が実際に進める順番を説明します。特定のレンタルサーバーの画面名や料金を一律に断定せず、契約先の現行案内で確認すべき項目を分けます。WordPressを設置できることと、公開後も安全に運用できることは別なので、公開前の動作確認とバックアップまでを始め方の一部として扱います。
始め方:始める前に必要なもの
WordPressを始める前に、何を作るサイトかを一文で決めます。記事中心のブログなのか、サービスを案内する企業サイトなのか、商品を販売するECサイトなのかで、必要なテーマ、プラグイン、ページ、運用体制が変わります。目的が決まらないままテーマのデモを選ぶと、見た目だけ整って問い合わせや更新の導線が不足しやすくなります。
推奨PHP・データベース・HTTPSを確認する
WordPress公式のRequirementsでは、2026年8月9日時点の推奨環境としてPHP 8.3以上、MariaDB 10.11以上またはMySQL 8.0以上、HTTPS対応などが案内されています。これはすべての環境で動作しないという意味ではなく、長期運用と安全性を考えると現行の推奨に近い環境を選ぶ方がよいという基準です。
契約前に、サーバー会社のPHP切り替え画面、データベースの種類と版、無料SSLの有無、バックアップ機能、メール送信制限を確認します。簡単インストール対応と書かれていても、古いPHP版へ固定されている、SSLがサイト全体へ反映されない、バックアップの保存期間が短いなどの条件があります。広告文ではなく、契約中プランの現行仕様を確認してください。
HTTPSはURLの先頭が https:// になる暗号化通信です。証明書を設定しただけで終わりではなく、WordPressのサイトアドレス、画像、CSS、JavaScript、フォームの送信先がHTTPSへそろっているかを確認します。HTTPからHTTPSへ変更する場合は、リダイレクトと混在コンテンツの確認が必要になるため、既存サイトではバックアップと検証環境を準備します。
ドメイン・サーバー・管理権限をそろえる
ドメインはサイトの住所、サーバーはWordPressのファイルとデータを置く環境です。別会社で契約しても構いませんが、DNSの設定、ネームサーバー、SSL、メールの担当が分かれると、障害時に確認先が増えます。誰がドメインを管理し、誰がサーバーを操作し、誰がWordPressの管理者になるかを記録しておきます。
管理者アカウント名には、推測されやすい名前を避け、強いパスワードと多要素認証を使います。記事編集だけを担当する人へ管理者権限を渡す必要はありません。管理者権限はテーマ、プラグイン、ユーザー、設定、更新を操作できるため、作業者ごとに必要な権限を分けます。共有アカウントを使うと、変更者と原因を追えなくなります。
公開後に外部連携を行う場合は、アプリケーションパスワードなど連携専用の認証情報を使い、通常のログイン用パスワードと分けます。発行した名前、利用先、失効予定だけを安全な管理台帳へ残し、秘密文字列をCSV、記事本文、画面キャプチャ、Git、ログへ保存しません。必要なくなった連携情報は個別に失効させます。
導入方法を選ぶ
WordPressの導入方法には、サーバーの簡単インストールと、公式パッケージを使う手動インストールがあります。前者はデータベース作成やファイル配置をサーバー側の画面で進めやすく、初めての人に向きます。後者は設定を自分で管理できる一方、データベース、設定ファイル、権限、更新方法を理解する必要があります。
サーバーの簡単インストールが向く場合
簡単インストールは、契約中のサーバーにWordPress用の入力フォームがあり、ドメイン、サイト名、管理者情報、データベースを指定して導入する方式です。画面の項目が少なく、データベース名や接頭辞を自動生成できることがあります。入力前に、設置先URLが本番ドメインなのかテスト用サブドメインなのかを確認します。
同じドメインへ複数回インストールすると、既存データを上書きする警告が出る場合があります。新規サイトだと思っていても、サーバーに古いファイルやデータベースが残っていると、初期化や重複の原因になります。管理画面で「新規作成」と表示されているか、現在の公開ファイルを確認してから実行します。
簡単インストール後も、サイトURL、管理画面URL、管理者メール、タイムゾーン、パーマリンク、SSL、メール送信を確認します。自動作成された初期ページ、サンプル投稿、不要なテーマやプラグインが残ることもあるため、削除前に本当に不要かを判断します。
手動インストールが必要な場合
手動インストールでは、WordPress公式ダウンロードページから正規のパッケージを取得し、データベースを準備し、ファイルを設置し、設定ファイルを作成してインストール画面を実行します。配布元が不明なZIPや、改変されたテーマ・プラグインを使わないことが重要です。
データベースには、データベース名、ユーザー名、パスワード、ホスト名が必要です。 wp-config.php へ入力するときは、アクセス権限、ファイルの保管場所、バックアップに秘密情報が含まれることを確認します。設定ファイルを公開フォルダーからダウンロードできる状態にしない、バックアップZIPを公開URLへ置かない、といったサーバー側の保護も必要です。
手動インストールは、既存環境との統合、複数サイト、テスト環境、特殊なサーバー設定で役立ちますが、初心者が本番で試す場合は復旧手段を先に準備します。作業記録に、取得したWordPress版、PHP版、データベース版、設置先、設定変更、確認URLを残すと、更新や移行のときに再現できます。
設定を順番に進める
インストール直後は、見た目を先に整えるより、URL、権限、表示、バックアップ、メールの順に基本状態を確認します。テーマやプラグインを多く追加してから問題が起きると、原因の候補が増えるためです。
データベースとwp-config.phpの役割
WordPressの投稿、固定ページ、ユーザー、設定の多くはデータベースに保存され、テーマやプラグイン、アップロード画像などのファイルは wp-content などへ保存されます。片方だけをバックアップしても、完全な復元にはなりません。サーバー会社のバックアップがある場合も、復元できる対象と保存期間を確認します。
wp-config.php には、データベース接続情報、認証用の秘密鍵、デバッグ設定などが含まれます。画面共有や作業依頼でファイルを渡す場合は、データベースパスワードや秘密鍵を見せません。デバッグを有効にする場合も、公開画面へエラーを表示せず、安全なログへ出す設定を選びます。
データベースのテーブル接頭辞は、既存サイトと重ならないように確認しますが、接頭辞を変えるだけでセキュリティが保証されるわけではありません。推測されにくい管理者情報、更新、権限、バックアップ、HTTPSといった基本対策を組み合わせます。
設置先URLと管理者情報を決める
サイトアドレスとWordPressアドレスを入力するときは、HTTPとHTTPS、wwwの有無、サブディレクトリの有無をそろえます。設置場所が example.com/blog なのか、公開URLが example.com なのかが違うと、画像やリンク、リダイレクトが不自然になることがあります。インストール後は「設定→一般」で表示を確認し、むやみにURLを変更しません。
管理者メールアドレスは、更新通知やパスワード再設定を受け取れるものを使います。入力したアドレスが受信できるか、迷惑メールへ入らないかを確認します。管理画面のユーザー名を記事へ公開せず、作業者ごとにユーザーを分けます。管理者アカウントを追加したら、不要な初期アカウントが残っていないかを確認します。
初期設定が終わったら、サイト名、キャッチフレーズ、タイムゾーン、表示設定、パーマリンク、コメント方針、メディアの扱いを決めます。検索エンジンに表示するかどうかは、テスト環境と本番環境で扱いが異なるため、テストサイトを公開しない設定と、本番で公開する設定を取り違えないようにします。
公開前の動作確認
WordPressの始め方で忘れられやすいのが、公開後の確認です。インストールが成功した画面だけでは、メール、スマートフォン表示、リンク、権限、復旧が動くか分かりません。最低限のページと記事を作り、訪問者の視点と編集者の視点を分けて確認します。
ログイン・表示・メール・更新を試す
ログイン後は、管理画面のメニューが想定した権限で見えるか、記事を下書き保存できるか、画像をアップロードできるかを確認します。ログアウトして公開画面を開き、トップページ、記事詳細、固定ページ、カテゴリー一覧、検索、404ページを確認します。管理バーが表示されるログイン状態だけでなく、訪問者と同じログアウト状態でも表示を見ます。
問い合わせフォームがある場合は、テスト用の名前とメールアドレスで送信し、送信完了画面、受信メール、返信先、迷惑メール判定を確認します。実在の顧客情報をテストへ使わないでください。フォームプラグインが正常でも、サーバーのメール送信制限やDNSの設定で届かない場合があります。
更新通知が出たら、すぐに本番環境で一括更新せず、バックアップと検証環境を確認します。WordPress本体、テーマ、プラグインの更新後に、ログイン、表示、記事、画像、フォーム、検索、メールをもう一度試します。更新前後のバージョンを記録し、問題が起きた対象を一つずつ切り分けます。
バックアップと復旧経路を残す
公開前に、データベースとファイルを含むバックアップを作ります。保存場所を本番サーバーだけにせず、復元に必要な認証情報や手順を別の安全な管理場所へ残します。復旧テストでは、バックアップから別環境へ復元し、管理画面へログインできるか、記事と画像が表示されるか、フォームが動くかを確認します。
復旧手順には、誰が停止を判断するか、どの時点のバックアップを使うか、DNSやSSLをどう確認するか、復元後に何をテストするかを書きます。バックアップがあるという説明だけで、復元できると断定しないでください。復元に時間がかかる場合や、一部の注文・問い合わせが失われる可能性も、サイトの用途に応じて整理します。
公開前のチェックリストは、完了した項目へ印を付けるだけでなく、未確認の項目を残すためにも使います。ドメインの向き先、HTTPSの警告、管理者メールの受信、ログアウト時の表示、スマートフォンのメニュー、バックアップの復元先を一つずつ確認します。確認できない項目を「たぶん大丈夫」として公開しないことが、初期トラブルを減らします。
作業者が変わる場合に備え、チェックリストの各項目へ確認日と確認者も残します。設定値そのものを秘密情報として記録する必要はありませんが、どの画面で何を確認したかが分かる形にしておくと、次の更新や移行で再利用できます。
WordPressの始め方は、インストールボタンを押すことだけではありません。目的と必要なページを決め、推奨環境と契約条件を確認し、設置方法を選び、URLと権限を整え、公開前に表示・メール・更新・復旧を試すまでが一つの流れです。作業を小さく区切って記録し、公式資料と契約先の現行案内を確認しながら進めると、後から安全に育てられるWordPressサイトを始められます。
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